マンションを売却したら確定申告は必要?税金・特例・必要書類を解説

マンションを売却すると、確定申告が必要な場合があります。会社員など慣れていない人にとって、確定申告はわからないことが多く、不安ではないでしょうか。この記事ではマンションを売却した時の確定申告の必要性、必要書類や節税につながる特例などについて解説します。マンションを売却した人やこれからマンションを売る予定の方は参考にしてください。

マンション売却で確定申告は必要?しないとどうなる?

マンションを売却すると、すべてのケースで確定申告が必要なわけではありません。しかし、税務署は登記簿謄本のチェックを通じて売却したことを把握しているので、確定申告が必要な場合は自主的に申告を行いましょう。

売却利益が出たら、確定申告が必要

マンションの売却で確定申告が必要となるのは、売却利益が出た場合です。不動産の売却利益は、所得税の譲渡所得に分類されます。譲渡所得は給与所得とは異なるため、年末調整では対応できません。また、不動産の譲渡所得は物件が居住用か賃貸経営などの投資用かを問わず確定申告が必要になります。

売却損失が生じた場合は確定申告不要だが、申告したほうがいいケースも

マンションを購入価格より安い金額で売却した場合は売却損が生じ、確定申告は必要ありません。ただし、マンションの売却損は他の不動産の譲渡所得との損益通算が可能です。損益通算とは利益と損失を相殺することで、所得税を軽減する効果があります。

さらに、マイホームの譲渡損失に限り、給与所得・事業所得など他の所得との損益通算が可能です。

マイホームの譲渡損失の損益通算で引ききれない損失がある場合、最長3年間損失を繰り越す、「繰越控除」が受けられます。損益通算、繰越控除を適用する場合は、確定申告が必要です。

売却益が出たのに確定申告しないとどうなる?

売却益が出たにもかかわらず確定申告をしないと、延滞税や無申告加算税、悪質だと判断された場合には重加算税といったペナルティが課せられます。マンションを売却して利益が出た場合は、必ず期限内に確定申告をしましょう。

納付額はいくらになる?「譲渡所得」をもとに税額を計算

マンションを売却した時の譲渡所得は給与所得などと分けて計算します(分離課税という)。ここでは、マンション売却の譲渡所得に対する税額の求め方を解説します。

売却金額=譲渡所得ではないので注意

譲渡所得は以下の計算式で求めます。

収入金額 - (取得費 + 譲渡費用) = 譲渡所得

確定申告が必要となるのは、売却による収入金額からマンションの購入費用と、売却に要した費用を差し引いてプラスの場合です。たとえば、3,000万円で買ったマンションが3,100万円で売れたとしても、売却費用が200万円かかればトータルの収支は-100万円{3,100万円-(3,000万円+200万円)}となり、譲渡所得はないことになります。このケースでは確定申告は必要ありません。

また、後述する特別控除の要件を満たす場合、譲渡所得から特別控除額を差し引いた課税譲渡所得金額をもとに税額を計算します。

どんな費用が取得費になるか

収入金額から差し引く取得費は、物件の購入にかかった費用です。取得費の算出には実際にかかった金額で計算する方法(実額法)と概算の取得費を使用する方法(概算法)があり、有利な方法を選べます。

実額法の場合に取得費となるのは、次のような費用です。

  • マンションの購入代金
  • 不動産取引の仲介手数料
  • 立退料・移転料
  • 印紙税・登録免許税・不動産取得税

取得費が不明な場合、売却金額の5%を概算取得費とみなすことが可能です。また、実際の取得費が売却金額の5%相当額を下回る場合、概算取得費を使用できます。

建物部分の取得費は減価償却費も考慮する

取得費のうち、建物部分の取得費からは減価償却費を差し引き、経年劣化分を反映させる必要があります。土地は経年劣化しないので、減価償却は建物だけの概念です。よって、マンションの取得費は敷地部分と建物部分で分けて考える必要があります。

どんな費用が譲渡費用になるか

譲渡費用とは、売却にかかった費用のことです。譲渡費用として次のようなものが認められています。

  • 不動産取引の仲介手数料
  • 立退料
  • 違約金
  • 名義書換料

なお、修繕費や固定資産税は物件の維持管理や保有のための費用であり、譲渡費用とは認められません。

マンションの所有期間が5年超か否かによって税率が異なる

マンションの譲渡所得に対してかかる税率は、所有していた期間によって異なります。マンションを売却した年の1月1日時点で所有期間が5年以下なら短期譲渡所得、5年超なら長期譲渡所得として以下の税率が適用されます。

所得区分所得税住民税
短期譲渡所得(5年以下)30.63%9%
長期譲渡所得(5年超)15.315%5%

居住用マンションの売却なら特別控除(特例)が受けられる

居住用マンションを売却して譲渡所得が出た場合、条件を満たせば受けられる特別控除があります。それぞれの要件や他の優遇税制との併用の可否を確認し、自分にとって一番有利になる方法を把握しましょう。

譲渡所得が生じた場合に使える特例

①マイホーム 3,000万円の特別控除の特例

3,000万円特別控除」は、マイホームを売却したときの譲渡所得から、居住期間に関係なく3,000万円を差し引ける特例です。

この特例を利用すれば、譲渡所得が3,000万円以下であれば税金がかからなくなります。この特例の適用要件は次のとおりです。

  • 売却した物件が居住用であること(所有期間・居住期間問わず)
  • 住んでいない場合は住まなくなった日から3年目の年末までに売却すること
  • 売却した年の前年または前々年にこの特例、「マイホームの買換えの特例」、「譲渡損失の繰越控除」を適用していないこと(3年に1回まで利用できる)
  • 売買の取引が親子、夫婦など特別な関係者間で行われたものでないこと

3,000万円特別控除は住宅ローン控除と併用できないため、自宅の買い換えで住宅ローンを利用する場合には注意が必要です。

②10年超えマイホーム軽減税率の特例

10年を超えて所有するマンションを売却する場合、軽減税率が適用されます。この軽減税率は長期譲渡所得より低く、大変有利な特例です。また、①マイホーム 3,000万円の特別控除の特例と併用可能なので、ぜひ覚えておいてください。この特例の適用を受けるための要件は次のとおりです。

  • 売却した物件が居住用であること(所有期間10年超・居住期間問わず)
  • 住んでいない場合は住まなくなった日から3年目の年末までに売却すること
  • 売却した年の前年または前々年にこの特例および、「マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」を適用していないこと(3年に1回まで利用できる)
  • 売買の取引が親子、夫婦など特別な関係者間で行われたものでないこと

マイホームを売ったときの軽減税率は以下のとおりです。

譲渡所得金額(A)
収入金額-(取得費 + 譲渡費用)-特別控除(3,000万など)の余りがA
税額
3,000万円以下の部分3,000万円特別控除により課税されない
3,000万円超え
6,000万円以下の部分
A×10%
6,000万円超の部分(A-6,000万円)×15%+600万円
譲渡所得金額(A)
収入金額-(取得費 + 譲渡費用)-特別控除(3,000万など)の余りがA
所得税住民税
6,000万円以下の部分10.21%4%
6,000万円超の部分15.315%5%

③10年超えマイホーム買換え時の課税を繰り延べる特例

所有期間10年超の自宅マンションを売って、新たにマイホームを買い換えたときは、譲渡益に対する課税の繰り延べが可能です。たとえば、3,000万円で購入したマンションを4,000万円で売却し、新たに5,000万円のマンションを購入した場合、通常1,000万円の譲渡所得に対して税金がかかります。しかし、この特例を適用すると、売却のタイミングでは課税されず、将来に5,000万円のマンションを売却したときに課税される特例です。ただし、この特例は課税の繰り延べであり、税金が免除されるわけではないことに注意してください。

こちらの特例は上記の

①マイホーム 3,000万円の特別控除の特例
②10年超えマイホーム軽減税率の特例
④マイホーム買い換え譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

と併用できません。

譲渡損失が生じた場合

④マイホーム買い換え譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

自宅マンションの買い換えで譲渡損失が生じた場合、一定の要件を満たすことで給与所得や事業所得など他の所得と損益通算が可能です。また、損益通算で控除しきれない損失は、翌年以降3年以内に繰り越しての控除が可能です。この特例が適用されるのは、マイホームを令和3年12月31日までに売却して、新たなマイホームを購入したケースになります。特例の適用要件は次のとおりです。

  • 売却した年の1月1日時点で、家も土地も所有期間5年超であること
  • 新居を購入した年の年末において新居について償還期間10年以上の住宅ローンがあること
  • 床面積50m²以上の新居を売却の年の前年から翌年までの期間内に取得し、取得年の翌年年末までに居住すること
  • 繰越控除を適用する場合、適用する年の合計所得金額が3,000万円以下であること
  • 売買の取引が親子、夫婦など特別な関係者間で行われたものでないこと

こちらの特例は上記の

①マイホーム 3,000万円の特別控除の特例
②10年超えマイホーム軽減税率の特例
③10年超えマイホーム買換え時の課税を繰り延べる特例
④マイホーム買い換え譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

と併用できません。

⑤住宅ローン残高あり譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

自宅マンションを住宅ローンの残高より低い金額で売却して損失が出たときに、一定の要件を満たすと譲渡損失をその年の他の所得と損益通算できます。損益通算しても控除しきれなかった場合は、翌年以降3年以内に繰越控除が可能です。この特例は新たにマイホームを購入しない場合でも適用できます。この特例が適用されるのは、令和3年12月31日までの自宅の売却についてです。特例の適用要件は次のとおりとなります。

  • 売却した年の1月1日時点で、家も土地も所有期間5年超であること
  • 売買契約を締結した日の前日において、売却する物件に償還期間10年以上の住宅ローン残高があること
  • 繰越控除を適用する場合、適用する年の合計所得金額が3,000万円以下であること
  • 売買の取引が親子、夫婦など特別な関係者間で行われたものでないこと

こちらの特例は上記の

①マイホーム 3,000万円の特別控除の特例
②10年超えマイホーム軽減税率の特例
③10年超えマイホーム買換え時の課税を繰り延べる特例

と併用できません。

確定申告に必要な書類と申告書記入例

最後にマンションの売却で確定申告が必要な場合の、書類と申告書の記入について解説します。

確定申告にはどんな書類が必要?

マンションの売却に関する確定申告で必要な書類は税務署から入手するものと、自分で準備するものがあります。適用する特例などによって個別に必要となる書類もありますが、主に必要な書類は以下のようなものです。

税務署から入手する書類

自分で準備する書類

自分で準備する書類には以下のようなものがあります。いずれもコピーでかまいません。

  • 登記簿謄本
  • マンション売却時の売買契約書
  • マンション購入時の売買契約書
  • 売却代金、仲介手数料、登記費用や印紙税など諸経費の領収書

確定申告書の記載例

確定申告書の記載手順は以下のとおりです。

  1. 「譲渡所得の内訳書」を作成する
  2. 第1表の「収入金額等」と「所得金額」を記入する
  3. 第2表を作成する
  4. 第1表の「所得から差し引かれる金額」を記入する
  5. 第3表の分離課税の「収入金額等」と「所得金額」を記入する
  6. 第3表の「税金の計算」欄を記入する
  7. 第1表の「税金の計算」欄と「その他」欄を記入する

申告書の記入の仕方は以下を参考にしてください。

国税庁:譲渡所得の申告のしかた(記載例)

まとめ

マンションの売却では利益が出ることもあれば、損失が生じることもあります。いずれの場合も確定申告により、税の負担を軽減できるかもしれません。しかし、個人の判断で最適な節税対策を考えることは難しいこともあるでしょう。自分にとって最も有利な方法がわからない場合、税理士に相談しましょう。

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