FXの住民税はいくら?申告しないリスクは?申告方法は?

FXで利益が出ると、所得税と住民税がかかります。住民税は所得税とは異なる点があり、特に住民税は思いがけず高額になる場合があります。この記事では、普段あまり意識することのない、FX取引に関する住民税について解説します。

FXにかかる住民税とは

住民税とは、前年の1月1日から12月31日までの所得に対し、1月1日時点の住所地から課税される地方税です。FXにかぎらず、個人の所得には所得税と住民税がかかります。住民税は、1年間の所得金額をもとに算出する「所得割」と、所得に関係なく定額を負担する「均等割」で構成されています。所得割は所得税と同様の仕組みで、均等割の標準税額は5,000円(市町村民税3,500円、道府県民税1,500円)です。均等割も所得割も自治体ごとに独自の税額や税率を決められるため、全国一律ではありません。

FXにかかる住民税の税率

FXにかかる住民税の税率は国内FXと海外FXでは異なります。国内FXから生じる所得は「先物取引に係る雑所得等」に分類され、他の所得と分けて税金を計算します(分離課税という)。一方、海外FXの所得は雑所得に該当し、給与所得など他の所得と合わせて計算します(総合課税という)。住民税の標準税率は、国内FXが 5%、海外FXが10%です。

FXの利益に対して住民税の申告が必要 

FX取引で年間の収支がマイナス(赤字)であれば申告不要ですが、給与所得が48万円以上ある方で、FXの利益が1円以上になる場合、副業所得20万円以下でも、住民税の申告が必要です。

給与所得者でない方が住民税の申告をするケース

専業トレーダーなど給与所得者でない方は、年間の所得が基礎控除の48万円を超える場合、原則として確定申告が必要です。住民税の計算上、FXの所得が年間45万円を超える場合に住民税の申告が必要になります。つまりFXの所得が年間48万円(それ以外の所得なし)の方は所得税の確定申告は不要ですが、住民税の申告は必要です。

FXの住民税は自分で納付するか給与から天引きできる

住民税の納付方法には、普通徴収と特別徴収の2種類があります。

自分で納付する場合

普通徴収は、自分で税金を支払う方法です。普通徴収の場合、市区町村の役所から毎年6月初旬に納付書が送られてきます。納付書は一括用と分割用(4期分)が同封されていることがあります。分割の場合、それぞれの納期限は第1期が6月末、第2期が8月末、第3期が10月末、第4期が翌年1月末です。一括納付の納期限は6月末となっています。

給与から天引きする場合

会社員や公務員などの住民税は、原則として給与から天引きされます。給与から天引きされる住民税の納付を、特別徴収といいます。特別徴収は普通徴収と違い、勤務先が納付を代行してくれるので納め忘れもなく、手間もかかりません。特別徴収では、前年度の所得に対する住民税を6月から翌年の5月まで毎月給与から納付します。

FXの利益(所得)と住民税の計算例

FXの利益に住民税がかかる事例で、住民税の計算をしてみましょう。前提条件は、次のとおりです。

  • 給与所得者
  • 国内FX
  • FXの経費はなし
  • 給与所得以外はFXの所得のみ

各ポジションの損益は以下のとおりです。

1回目10万円
2回目20万円
3回目▲20万円
4回目15万円
5回目▲10万円
合計15万円

この年の先物取引に係る雑所得等(FXの所得)は15万円です。この場合、所得税の確定申告は不要ですが、住民税の申告をしなければなりません。住民税額は次のように計算します。

住民税(地方税)額 = 15万円 × 5% = 7,500円

この年の、FXの利益にかかる住民税は7,500円となりました。

FXにかかる住民税の申告方法

FXで利益を得た場合の所得税は、確定申告によって確定します。 住民税は、確定申告により税務署から市区町村の役所に伝達され、それをもとに市区町村の役所で住民税を計算します。したがって、確定申告をした方は別途住民税を申告する必要がありません。FXの所得があっても確定申告が不要の方は、別途、市区町村の役所で住民税の申告が必要です。

確定申告をする場合

FX取引について確定申告をする場合、住民税の申告は必要ありません。確定申告の際に住民税の納付方法として「特別徴収」か「普通徴収」のどちらかを選択できます。特別徴収を選択した場合、給与天引きでの納付となり、普通徴収を選択すると、送られてきた納付書により自分で納付します。

確定申告が不要の場合

FXの副業で稼いだ利益(所得)が20万円以下の場合、確定申告は不要ですが、FXなど年末調整で申告できない所得がある場合、住民税の申告義務が生じます。住民税の申告の際には、市区町村の役所に市民税・県民税申告書という書類を提出します。申告書の用紙は役所でもらうか、各自治体のウェブサイトからダウンロードできます。作成した申告書は、役所の窓口に持参するか、郵送で提出が可能です。

FXで支払う住民税を最大限に活用する方法

住民税をただ支払うだけでなく、ふるさと納税により活用する仕組みを解説します。

ふるさと納税とは

ふるさと納税は自分の居住地以外の自治体に寄付を行うと、寄付した金額から2,000円を差し引いた分が控除される仕組みです。本来支払う税金で物を購入するため、税金を直に下げるような効果はありませんが、寄付した自治体から返礼品がもらえます。2,000円の自己負担で豪華な返礼品を受取れますので、税金を有効活用することが可能です。

ふるさと納税の申告について

ふるさと納税を行う際は、原則として確定申告が必要です。ただし、寄付先が5自治体以内ならワンストップ特例制度により、確定申告しないで寄付金控除を受けられます。ワンストップ特例を使わずに確定申告を行う際は、寄付先の自治体から送られる寄付金受領証明書の提出が必要です。

ワンストップ特例制度とは

ワンストップ特例制度とは、給与所得者の方が確定申告なしで寄附金控除を受けられる制度です。ワンストップ特例を利用するには、確定申告が不要でなければなりません。もし医療費控除や住宅ローン控除を受けるために確定申告を行った場合、ワンストップ特例の適用が無効となりますので、改めて確定申告が必要になることに注意が必要です。

ワンストップ特例制度の利用方法

ワンストップ特例制度は、ふるさと納税を行う際に、寄付先の自治体に「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を提出するだけで適用されます。申請書は、寄付先の自治体から送ってもらうか、総務省のウェブサイトよりダウンロードが可能です。ワンストップ特例制度は住民税のみ控除されます。一方で確定申告を行う場合、住民税および所得税から控除されます。ただし、ワンストップ特例制度を利用した場合と確定申告の間に金額的な優劣はありません。

FXの住民税を申告する際の注意点

住民税の申告漏れがあった場合

住民税の申告を誤った場合、修正申告の手間が発生します。税務署の指摘を受けて修正申告を行う場合、追加で納める税額に加え、過少申告加算税が加算されます。一方で、税務署に指摘される前に自己申告(修正申告)すれば、過少申告加算税はかかりません。また、追加で税金を納める場合、本来の納期限の翌日から完納されるまでの期間について延滞税が課されます。

税務署は個人のFXの利益を把握している

国内のFX会社は税務署に対し、支払調書という書類を提出しており、税務署は申告内容の誤りを把握できます。利益があるのに申告しなかったり、実際の利益より少ない金額を申告したりすると、指摘を受ける可能性が高くなります。

FXを会社にバレたくないとき

FXの取引を勤務先に知られたくない人は、住民税の納付方法で普通徴収を選びましょう。会社が納付を代行する特別徴収では住民税が増えたことにより、給与以外の所得を知られるリスクが高まります。確定申告時に住民税の納付方法を普通徴収にすることで、FX取引のことを会社に知られるリスクが下がります。住民税のみ申告を行う場合でも住民税の申告書に住民税の納付方法を指定する欄があり、普通徴収の選択が可能です。

損失を申告すると住民税が下がる

国内のFX取引で1年間の損益がマイナスだった場合、翌年のFXの所得に対する住民税はかかりません。通常、年間の損益がマイナスの場合、確定申告は不要ですが、申告しておくことで翌年以降3年間、将来の利益と過去の損失を相殺できる制度があります(損失の繰越控除という)。たとえば、2021年は50万円の損失で終わり、2022年には100万円の利益が出たとします。確定申告で50万円の損失を申告しておけば、2022年の利益を50万円(100万円-50万円)に軽減できます。ただし、所得区分の異なる海外FXでは、損失の繰越控除は適用されません。

過年度分の利益は損益通算できない

損益通算とは、一定期間内の利益と損失を相殺することです。FXの損失と相殺できるのは同じ年と翌年以降の利益だけで、過去の利益とは損益通算できません。大きな利益のあった翌年に大きな損失が出たとしても、前年の利益との相殺はできないことに注意が必要です。

利益を出した翌年に高額の住民税がくる

住民税は前年度の所得に対して発生します。よって、FXで利益が多い年の翌年は、住民税の支払い額が増加します。住民税を支払う前に納税資金を使ってしまうと、税金を支払えないリスクが高まります。税金を滞納した場合、無駄な遅延税が加算されますので、大きな利益が出た年には、翌年の住民税を意識し、納税資金を確保しておきましょう。

まとめ

FXの取引で利益が出ると、所得税と住民税がかかります。所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告義務があるケースに注意が必要です。税務署に申告漏れを指摘されると無申告加算税が課せられるので、申告の要否を確認しましょう。また、申告の内容に間違いがあり、税務署に指摘されてから修正申告を行う場合、過少申告加算税が課せられます。自分で税金の計算をすることが不安な方は、税理士に確認してもらうことをおすすめします。

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