倒産防止共済・経営セーフティ共済の加入方法と節税対策まとめ

倒産防止共済・倒産セーフティ共済の違い
実際の契約申込書

まず最も重要な事項をまとめます。

  • 銀行窓口で当日に上限240万円を経費算入できる
  • 白色申告者は帳簿の持参が必要
  • 納税証明書その①が必要
  • 加入手続きは口座開設店になる

倒産防止共済は銀行窓口営業日に「契約申込書」「納税証明書その①」「身分証明書」を持参し当日に加入、経費算入できます。

倒産防止共済・経営セーフティ共済とは

「中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)制度」は、取引先事業者の倒産の影響を受けて中小企業者が倒産する事態(連鎖倒産)又は、倒産に至らないまでも著しい経営難に陥る事態の発生を防止するための制度です。

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倒産防止共済・経営セーフティ共済の違い

倒産防止共済と経営セーフティ共済は同じものです。当ページでは「倒産防止共済」に統一します。

倒産防止共済金の貸付

倒産防止共済に掛金を6か月以上支払っていると

  • 売掛金の回収が困難なとき
  • 取引先企業が倒産したとき

無利子、無担保で最大8000万円のお金を借りることができます。

【関連記事】倒産防止共済(経営セーフティ共済) 借入方法と上限金額

【節税効果】経費・損金になる

倒産防止共済に加入して支払った掛金は税法上、経費・損金扱いとなります。

  • 個人事業主は年間上限240万円を経費算入できる
  • 法人は年間上限240万円を損金にできる

個人・法人ともに年間最小6万円~上限240万円(月5千円~20万円)を掛金として節税できます。個人・法人ともに掛金の上限は800万円です。

【関連記事】倒産防止共済(経営セーフティ共済)の掛金が上限に達したらやること

掛金を解約して受け取れる

平成30年9月版の公式解約手当金から引用します。

掛金納付月数 任意解約 機構解約 みなし解約
1か月~11か月 0% 0% 0%
12か月~23か月 80% 75% 85%

24か月~29か月

85% 80% 90%
30か月~35か月 90% 85% 95%
36か月~39か月 95% 90% 100%
40か月以上 100% 95% 100%

引用元:経営セーフティ共済

  • 任意解約とは・・・契約者が任意に行う解約
  • 機構解約とは・・・不正などにより中小機構側が強制的に行う解約
  • みなし解約とは・・・契約者が死亡、会社解散、譲渡した時点で自動的に解約されること

倒産防止共済に加入後、40か月(3年4か月)以上経過していれば、100%の解約手当金を受け取れます。

【関連記事】倒産防止共済(経営セーフティ共済)の解約返戻金の率と税金対策

倒産防止共済【前納】の節税対策

倒産防止共済の掛け金は税法上、経費・損金算入することが可能です。

倒産防止共済・節税の仕組み
個人事業主の規定
倒産防止共済・節税の仕組み
法人の規定

倒産防止共済の加入契約書面上に(6)税法上の取り扱いとして定義されています。

【注意】個人事業主は事業所得のみ!

個人事業主は事業所得で得た収入のみ掛金に適用できます。

  • 不動産所得
  • FXやギャンブルの収入
  • 副業で稼いだ雑収入

など、取引先が倒産して売掛金の回収が困難になる要因がない収入は掛金として認められません。

経費・損金算入の考え方

掛金を支払ったタイミングで経費・損金算入できます。

前納で上限240万円節税する

前納とは、掛金を12か月分まとめて一括払いする方法です。掛金として毎月最小5千円~上限20万円に設定した金額を12か月前納できます。

前納の例

  • 個人事業主・・・12月25日に240万円前納した→12/25に240万円を経費算入します。
  • 4月決算の法人・・・3月25日に240万円前納した→3/25に240万円を損金算入します。

前納のタイミング

  • 新規加入時に銀行窓口で前納金額を振り込んだ日付
  • 前納振替手続き完了後、口座から引落しされた日付

新規加入時のみ銀行窓口で前納を一括振込できます。倒産防止共済の加入申し込み時に掛金を毎月20万円に設定し、240万円を前納した場合、13か月目から掛金20万円が銀行口座から自動的に引き落とされます。13か月目の前納は口座引落しとなり別途前納の手続きが必要です。

口座振替で毎月節税する

口座振替とは、掛金を毎月口座から引落しにより支払う方法です。掛金は毎月5千円~上限20万円に設定できます。

口座振替の経費・損金算入タイミングは銀行引落日の27日が最適です。

【関連記事】倒産防止共済(経営セーフティ共済)の仕訳と勘定科目について

【個人事業主】前納時の注意点

12月25日に240万円前納、12月に240万円を経費算入した場合、掛金が各月に機構側で充当されます。
12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月
20万 20万 20万 20万 20万 20万 20万 20万 20万 20万 20万 20万
個人 個人 個人 個人 個人 個人 個人 個人 個人 個人 個人 個人
240万経費算入                      
2月に個人事業主から法人成りした場合、前納金の充当が法人に切り替わり、個人の200万円の経費が否認される(修正申告)リスクがでます。
12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月
20万 20万 20万 20万 20万 20万 20万 20万 20万 20万 20万 20万
個人 個人 法人 法人 法人 法人 法人 法人 法人 法人 法人 法人
240万経費算入 個人は40万のみ経費 200万は法人に充当                  

【前納】経費算入の否認リスクを回避する方法

個人事業と法人で倒産防止共済に加入する

法人成り手続きせず、個人事業主と法人を別々に倒産防止共済に加入すればOKです。

個人事業と法人の業種を分ける必要がある

倒産防止共済の加入時に「主たる業種」を詳細に記入します。個人事業と法人契約で名義人が同じで主たる業種が類似している場合、加入審査で落ちる、または規約違反として機構解約リスクが高くなります。※中小機構ご担当者様より回答あり

倒産防止共済の増額と減額のやり方

以下、毎月5,000円~200,000円の範囲で設定した掛金を変更する方法です。

掛金を減額する方法

中小機構公式サイトの「掛金の増額/減額」より「掛金月額変更申込書」を印刷・記入して銀行窓口へ提出します。

減額できる条件(3つのうち1つに該当する場合)

※中小機構の担当者の方いわく、1.2のどちらかで減額手続きする方が多く、機構または銀行窓口で財務諸表など証拠書類の提出は求めません。

  1. 共済契約者の事業規模が縮小された場合
  2. 事業経営の著しい悪化、病気または怪我、急な費用の支出などにより掛金の払込みの継続が著しく困難である場合
  3. 借入金の貸付残高と掛金総額の10倍に相当する額との合計額が8,000万円に達している場合

引用元:中小機構ホームページ

掛金を増額する方法

増額は減額と同じ手続きです。「掛金月額変更申込書」を印刷・記入して銀行窓口へ提出します。※増額に条件はありません。

【関連記事】倒産防止共済(経営セーフティ共済)減額と増額に必要な手続き

倒産防止共済の加入方法

個人事業主・法人ともに倒産防止共済の加入方法は同じです。

加入資格

下記(1)(2)のどちらかに該当する方は倒産防止共済に加入できます。

(1) 1年以上事業を行っている個人事業主 or 法人

業種 資本金の額または出資の総額 常時使用する従業員数
製造業、建設業、運輸業その他の業種 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
小売業 5,000万円以下 50人以下
ゴム製品製造業 3億円以下 900人以下
ソフトウェア業または情報処理サービス業 3億円以下 300人以下
旅館業 5,000万円以下 200人以下

(2) 組合の方

  • 企業組合、協業組合
  • 共同生産、共同販売等の共同事業を行っている事業協同組合、事業協同小組合、商工組合

上記(1)(2)に該当しても加入不可の方

以下1~8のどれか1つに該当する方は倒産防止共済に加入できません。

  1. 住所や主たる業種を繰り返し変更する方
  2. 事業の経理内容が不明の方
  3. 過去に貸付金や共済金の償還を怠っている方
  4. 中小機構から返還請求を受けたが返還を怠っている方
  5. 所得税または法人税を滞納している方
  6. 12か月以上掛金を未払い、不正行為により機構解約されてから1年未満の方
  7. 不正行為により貸付け、解約手当金の受給が発覚した日から1年未満の方
  8. 既に共済契約者の方

以上となります。

加入方法

倒産防止共済の加入は中小機構と業務委託契約を結んでいる団体、金融機関のみ可能です。

取引先の金融機関

倒産防止共済の加入は現在取引のある金融機関が最適で、理由は以下の通りです。

  • 当日に加入手続き、掛金前納、経費算入できるスピード対応
  • 銀行窓口スタッフが親身にサポートしてくれる
  • 銀行側が経験豊富のため手続きが早い

銀行で加入するデメリットは口座開設支店でしか取り扱いできない点です。口座開設支店へ訪問できない場合、最寄りの銀行支店で対応可能な場合があります。最寄りの銀行へ問い合わせしましょう。

その他の加入窓口

商工会、商工会議所、中小企業団体中央会、中小企業の組合等、信託銀行、信用金庫、信用組合、商工中金の本支店

持参するもの

個人事業の場合

個人事業主が倒産防止共済の加入時に必要なものは以下4点です。

  1. 契約申込書一式(口座振替申出書、反社会的勢力に関する同意書)
  2. 所轄税務署の受付印がある所得税の確定申告書(収支内訳書を含む)
  3. 納税証明書その1
  4. 確定申告作成の帳簿書類(白白申告者のみ)

法人の場合

法人が倒産防止共済の加入時に必要なものは以下4点です。

  1. 契約申込書一式(口座振替申出書、反社会的勢力に関する同意書)
  2. 所轄税務署の受付印がある法人税の確定申告書(決算書を含む)
  3. 法務局で発行した3か月以内の登記事項証明書 (商業登記簿謄本)
  4. 納税証明書その1

※「納税証明書その1」は所轄税務署の窓口にて10分で発行されます。

不要なもの

筆者が個人事業で加入する際に、銀行担当者から「実印の印鑑証明書」を持参するように忠告されました。これを中小機構に確認したところ、中小機構側では印鑑証明書の提示を義務付けておらず、銀行員独自の要求であることがわかりました。

確定申告書類の控えがない場合 (受付印がない)

解決策は2通りあります。

  1. 所轄税務署で発行手続きを行う(3か月かかる)
  2. 受付印がないものを持参する

上記2に関して、中小機構へ確認したところ、受付印がなくても会計ソフトで印刷した確定申告控えや紙で提出した控えがあれば問題ないと回答がありました。※筆者自身、受付印なしの控えを持参して加入できました。

倒産防止共済の出口戦略

出口戦略とは、倒産防止共済の解約手当金に対する税金対策を表します。

倒産防止共済の掛金は経費・損金扱いですが、任意解約による解約手当金は

  • 個人事業の場合・・・事業所得になる
  • 法人の場合・・・益金になる

ため、解約手当金に対する税金対策(出口戦略)が必要です。

40か月以降に任意解約する

40か月以上の加入後、任意解約した場合、掛金が100%戻ります。

任意解約のタイミングは40か月以降自由に選べるため戦略的に解約しましょう。

利益が少ない事業年度に任意解約する

40か月以降、個人・法人ともに所得が低い事業年度に解約手当金(所得)を受け取れば課税所得が下がります。

赤字の事業年度に任意解約する

40か月以降、個人・法人ともに赤字の事業年度に解約手当金(所得)を受け取れば課税所得が下がります。

解約手当金に対する税額めやす

個人事業の場合

所得金額
税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下
10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下
20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下
23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下
33% 1,536,000円
1,800万円超 40% 2,796,000円

例)解約手当金800万円×23%-636,000円=1,204,000円が所得税になる計算です。さらに国保、住民税、個人事業税(約21%)が徴収されます。

法人の場合

区分 所得金額 税率
普通法人 資本金1億円以下の法人 年800万円以下 下記以外の法人 15%
3年間の平均所得15億円以上 19%
年800万円超 23.20%
上記以外の普通法人 23.20%

例)解約手当金800万円×15%=1,200,000円が法人税になる計算です。さらに法人事業税、特別法人事業税、地方法人税、法人住民税が徴収されます。

倒産防止共済・経営セーフティ共済まとめ

倒産防止共済(経営セーフティ共済)は取引先企業の倒産や事業悪化に伴う連鎖倒産を防ぐための制度です。

倒産防止共済の税法上の税制として経費、損金に算入できる節税効果があります。

40か月以上の加入により100%解約手当金を受け取れることから、利益繰延のため倒産防止共済を利用する方も多いです。

ただし、解約手当金は所得になるため、税金対策(出口戦略)を考えておきましょう。

倒産防止共済に関して税理士に相談したい方はお気軽にお問合せください。

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