不動産投資いつ法人化すべき?会社設立後の節税メリットとは

不動産投資 法人化を検討するタイミング

副業、あるいは資産運用の手段の1つとして不動産投資を行っている方は、どのようなタイミングで、その不動産事業を法人化すると良いのでしょうか。
単に、保有する不動産の数や収入金額だけでは判定できません。
以下の考え方を理解して、少しでも有利な選択ができるようにしましょう。

以下のどちらかのタイミングで法人化を検討すると良いでしょう。

不動産所得が900万円を超えた時

ます。

個人事業主に対して課される所得税は、所得金額が大きくなるほど増加します。
所得の金額が900万円を超えると、所得税と住民税をあわせた税率は43%を超えます。

一方、法人税の税率は原則単一であり、中小企業の実効税率は約33.5%です。

個人で年間900万円稼いだ場合の税率は43%
法人で900万円稼いだ場合の税率は33.5%

単純計算で9.5%の差が出ます。

年間の不動産所得が900万円を超えた時、法人化を検討しましょう。

給与所得が695万円を超えた時

給与所得と不動産所得がある場合、2つの所得の合計金額に対して税率が決まります。
そのため、給与所得が高い場合、不動産所得に対する税率も非常に高くなります。

給与所得が695万円を超えた時、法人化を検討しましょう。

不動産投資 個人が法人化する節税メリット

不動産投資ビジネスを行う個人が法人化するメリットは何でしょう。
不動産投資を個人として行うのではなく、法人化することで、どのような節税メリットが得られるのか確認しておきましょう。

法人の方が経費を増やせる

個人事業主が計上する必要経費は、事業に直接必要なものでなければなりません。
そのため、個人事業主は経費に計上できる範囲が狭まります。

たとえば個人の場合、倒産防止共済(経営セーフティ共済)や生命保険を活用した節税対策を行うことはできません。

しかしながら、法人にすることで修繕費の積立金を保険で経費にしたり、自宅を法人名義にして家賃を経費にしたり、法人独自の特例を使えば、個人よりも多くの経費を有効活用する術が生まれます。

所得を分散できる

個人で不動産業を行う場合、不動産所得はすべて個人のものとなります。
しかし不動産業を法人で行う場合、家族を法人の役員とすることで、家族に役員報酬を支払うことができます。
こうすれば、所得を分散することができるため、家族全体として見た場合の税負担を軽減することができます。
なお、個人事業として不動産業を行っている場合でも家族に給料を払うことはできますが、他に仕事を行っていないことや、業務に従事していなければならないなど、制約が多いため、法人化した方が有利となります。

不動産売却時の税負担を軽減できる

個人で不動産を売却した場合、給与所得や不動産所得と分離して税額を計算します。
不動産を売却した年の1月1日現在で所有期間が5年を超える場合は、所得税と住民税あわせて約20%の税率(長期譲渡所得)となります。
しかし、5年以下の場合は40%近くの税率(短期譲渡所得)を負担しなければなりません。

これに対して法人の場合は、不動産を売却した場合でも約33.5%の実効税率は変わりません。
そのため、所有期間に関係なく、売却のチャンスを逃さずに売却できます。

不動産売却益を損益通算できる

個人事業主による不動産の売却益は譲渡所得と呼ばれ、給与や家賃収入の所得と分けて課税されます。

将来の損失を考えたくありませんが、もしも不動産の売却時に損失が出た場合、個人事業主は他の所得と損益通算不可となります。個人は不動産の売却損(取得費-売却費)を他の所得と相殺できないことが大きなデメリットです。

一方で、法人所有の収益不動産の売却(譲渡)損は他の収益と相殺できるので、課税額が軽減されるメリットがあります。

老後資金や退職金で有利になる

退職金制度の活用も法人化するメリットです。法人化して退職金をもらう最大の利点は退職金に対する税率が低い点です。

個人事業主は小規模企業共済を活用した退職金の積立もありますが、掛金の制限など、退職金積立に対する設計の自由度が低くなります。

一方、法人であれば、自身の勤続年数に応じて退職控除額が増加しますので、個人の所得税を低く抑え、法人に利益を残しつつ、将来(10年後でも20年後でも)低い税率で退職金を受け取ることが可能になります。

不動産投資で法人化しない人の理由

一方で、不動産投資を法人化することのマイナス面をみていきます。
法人化した方がいいように思えても、不動産投資を法人化しない選択をするケースには、どのような理由が考えられるのでしょうか。

法人運営のコストが増える

法人を設立すると、個人の確定申告と同様に法人税の申告が必要です。
毎年税務署に提出する法人税申告書や、所在地の自治体に提出する地方税申告書の作成は非常に難しく、クラウド会計ソフトが対応していないなど、専門家である税理士に依頼する必要があります。
税理士に依頼する場合、月々の顧問契約もあわせて、最低でも30~40万円はかかってしまいます。

法人として行う手続きが多い

法人は個人よりも必要な手続きが増加します。
法人税や地方税の申告書の作成、それに関連する決算書類(PLやBS)の作成など簿記や会計に精通した経理担当者を雇う必要性がでてきます。

さらに自分自身に役員報酬を支払う場合、社会保険料の加入および支出が発生します。
社会保険料率は、健康保険と厚生年金あわせて、約30%を会社と個人で折半しますので
金額的な負担も大きいうえ、毎月源泉徴収の申告納税など、利益を生まない事務的な作業が増加します。

また、株式会社の場合は、毎年決算公告を行う義務があるため、
官報で決算公告を行う場合、掲載費用の支出が発生します。

個人から法人名義にする手間がかかる

個人所有の不動産を法人名義にする場合、法人が個人の不動産を買い取るなど対策が必要です。この時厄介なのが、不動産投資用に組んだローンの名義を法人にできないリスクがあったり、個人から法人に譲渡する適切な費用の算出が必要だったり、個人の不動産を買い取る資金を法人の口座に用意する必要があります。

さらに個人名義の不動産を法人に売却して個人に譲渡所得が発生する場合、短期譲渡所得(5年以下)と長期譲渡所得(5年以上)の税率を考慮する必要があるなど、個人所有の不動産を法人に移行するには時間・手間・コストがかかる点に注意しましょう。

不動産投資用に会社を設立する方法

法人化を検討するにあたって、どのように法人を設立するのか、会社設立の流れと費用のイメージを確認しましょう。

会社設立に必要となるもの

法人化の際、多くの方は専門家に依頼すると思います。
この時、手続きをスムーズに進めるためには、正式に依頼する前に、最低限以下の内容を決めておきましょう。

・法人名 (会社の名前)
・本店所在地 (会社の住所)
・事業目的 (会社法で記載事項以外の事業は認められない)
・資本金 (個人的に使えない会社のお金)
・決算期 (会計期間)
・出資者(株主)

また、法人の設立には印鑑(代表者印、社印、銀行印、ゴム印)が必要となるため、法人名などを決めた後、ネット注文などにより準備しておきましょう。

会社設立の流れ

会社設立の全体の流れは以下のとおりです。

①会社設立の準備を行う

法人名や本店所在地など、専門家に依頼する前に定款の記載事項や印鑑などを「会社設立に必要となるもの」を準備しておきます。

②専門家に依頼する

司法書士や税理士などの専門家に依頼すると、まずは会社設立に必要な定款の作成に取り掛かかります。
会社の実態にあわせた定款の作成や公証役場での認証など、必要な手続きを専門家とともに行います。

③登記書類の作成

定款を作成したら、その他に資本金の払込証明書や発起人の決定書など、必要な書類を作成していきます。
基本的には、すべて専門家が代行して書類を作成します。

④会社設立登記

③の書類がそろったら最寄りの法務局に申請し、会社の設立登記を行います。
司法書士や税理士に依頼すれば、法務局での登記手続きを代行しますので、1週間ほどで完了します。

⑤各種届出

会社を設立したら、税務署や各自治体に開業届を提出します。
この時、登記事項証明書の提示やコピーの添付が求められるため、あらかじめ準備しておきます。
また、法人にも青色申告の制度がありますが、申請しなければ適用することはできません。
青色申告の申請用紙を忘れないように、設立届とあわせて提出しておきます。

会社設立にかかる費用

会社設立にあたって必ず発生する費用は、公証役場での定款の認証と法務局での設立登記です。
株式会社の設立を自身でおこなう場合でも、登録料として最低20万円ほどかかります。
合同会社の設立を自身でおこなう場合は、公証役場での定款認証が不要になるうえ、登記にかかる登録免許税の額も少なくなるため、6万円で済むケースもあります。

株式会社や合同会社の設立を専門家に依頼する場合、別途手数料が10万円ほどかかります。

株式会社設立を専門家に委託する場合、30万円が相場です。
合同会社設立を専門家に委託する場合、16万円が相場です。

不動産投資の法人化まとめ

個人の不動産投資を法人化するメリットは、短距離走のような短い期間の納税額を軽減するだけでなく、長距離走のような老後資金の将来設計など、相談者の売上規模や要望に合わせてオーダーメイドで設計することが大切です。

税金の相談は法律上税理士しか扱えませんので、不動産投資の法人化に特化した税理士に相談することをおすすめします。

税理士法人監修

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