社員を外注にして消費税を節税する方法

インボイス制度が始まり、ほとんどの事業者は課税事業者に切り替わります。

これまで消費税の納付が不要だった免税事業者も、適格請求書の発行事業者として消費税の納付義務が発生します。

消費税を何とか工夫できないか

ということで、今回は消費税を外注費として利用する点に注目しました。

社員を外注にして消費税を節税する考え方とは

社員を外注にすると、それまで支払っていた給料は、外注費に置き換わることとなります。
給料を支払っても消費税はかかりませんが、外注費には消費税がかかるため、消費税の節税が可能となるのです

消費税の納税義務とは

課税事業者の個人・法人は消費税を納付しなければなりません。
納付する消費税の額は「売上の消費税 - 仕入れや経費で支払った消費税」の余りです。
消費税がかかる課税仕入の額が多いほど、納付する消費税は少なくなるのです。また回収した消費税よりも支払った消費税が多い場合、消費税の還付を受けられます。

売上(消費税) - 支払(消費税) = 納付する消費税

外注費とは

外注費とは、業務委託契約や請負契約を締結して、外部の人に仕事を依頼して支払う費用のことです。
その費用の性質から、業務委託費と呼ばれることもあります。
雇用関係にある人に支払う費用は給与や賞与に消費税はかかりません。
一方で外注費を支払う際は消費税を支払います

給与を外注費にした場合

従業員に支払っていた給与や賞与を、外注費に置き換えた場合、どのような違いがあるのでしょうか。
外注費と給与の違いを確認してみます。

 

外注費

給与

消費税

かかる

かからない

源泉徴収義務

なし

あり

会社負担の社会保険

なし

あり

外注費で節税できるイメージ

消費税は仮に預かった税金として、税の申告時に国に納税する仕組みです。消費税の納税額は以下の計算式で算出できます。

売上(消費税) - 支払(消費税) = 納付する消費税

※仮に預かった消費税が100万円で、支払った消費税が0の場合、100万円すべて納税します。

ここでのポイントは、本来国に納める消費税を外注費として利用する点です。

わかりやすく月30万円、年間360万円の給与、外注費を支払った場合を比較して「会社に多くお金が残る仕組み」をご覧ください。

(売上1,000万円/消費税100万の年度) 給与 外注費
経費 3,600,000円 3,272728円 (+消費税で360万円にする)
経費にかかる消費税 (10%) 0 327,272円
納付する消費税 1,000,000円 672,728円
社会保険料 (14.085%) 507,060円 0
法人税 納税額 (24.8982%) 1,467,235円 1,674,969円
会社が自由に使えるお金 4,425,705円 5,052,303円

 

単純計算ではありますが、年間360万円を給与で支払うよりも、外注費で支払うほうが税引き後のキャッシュが多くなります。※ただし外注費を受け取る相手が課税事業者の場合、消費税(327,272円)は納税して消えるため、相手の都合も考える必要があります。

所得税の源泉徴収が不要

外注費を支払う場合、支払者に源泉徴収義務は発生しません。
これに対して、給与を支払う会社は、支払う給与の額や扶養家族の有無に応じて、所得税を源泉徴収しなければなりません。
また、給与を支払う場合は、従業員の年末調整を行わなければなりませんが、外注費を支払う場合は年末調整も不要です。

社会保険料が下がるメリット

給料を支払っている従業員はみな社会保険に加入する義務があります。社会保険料のうち50%を会社で負担する決まりです。
月30万円の給料を支払った場合、会社が負担する社会保険料を見てみましょう。

 

外注費

給料

健康保険(東京都・協会けんぽの場合)

0円

14,760円

厚生年金

0円

27,450円

労働保険(業種により率は変わります)

0円

4,500円

合計

0円

46,710円

会社が給料を従業員に支払う場合、毎月46,710円、年間では56万円以上会社が負担しなければなりません。一方で、外注費として月30万円支払う場合、社会保険料の負担がなくなります。

外注費を受け取る人のデメリット

一方で給料の支払いを受けていた社員が、外注になるデメリットもございます。
例えば、外注扱いになると会社で加入する厚生年金に加入することはできなくなります。
また、労災保険や雇用保険を含む労働保険の対象外となります。
受け取った消費税をすべて納付した場合1円も手元に残りません。
さらに、自分で確定申告を行う必要があることにも注意が必要です。

税務署に「外注費」が認められなかった判例

本来国に納める消費税を外注費の一部として利用する考え方にはリスクを伴います。

そのため給与にすべきか、外注費にして問題ないか税理士に相談して適切に判断する必要があります。

外注費として支払ったつもりが、給与であると税務署に否認された事例を確認しましょう。

外注費が認められなかった事例1

一人親方に支払った報酬が外注費ではなく給与であるとされた事例があります。

(昭和58年3月23日裁決)
一人親方に対する報酬が、「基本賃金+時間外勤務手当」として算出されており、雇用契約書はないものの、実質的には雇用の対価である給与を支払っていると判断されました。

傾向と対策について

一人親方として業務を行っていることや雇用契約書がないことだけでは、外注費と判断される根拠にはなりません。
また、報酬の金額を決める根拠に、基本給のようなベースとなる賃金を決めたり、時間外手当を定めたりすると、従業員と変わらないものと判断されます。

外注費が認められなかった事例2

電気の配線工事に従事していた外注先に対する支払いについて、外注費ではなく給与とした事例があります。(東京高裁平成20年4月23日)
この事例では、仕事に使う電線などの材料を会社が無償で外注先に提供していました。
また、会社の現場代理人の指示に従って作業を行っており、業務の時間管理も会社が行っていました。
このほか、定期健康診断の費用や食事代、慰労会の費用も負担しており、従業員と変わらないと判断されたのです。

傾向と対策について

外注を受ける人は、会社の指揮命令下にありません。
また、タイムカードがあると、実質的には従業員と変わりがないと判断されやすくなります。
さらに、材料の仕入や交通費などの費用は、すべて外注者が負担するのが原則です。
会社で外注先に対する不適切な費用が計上されていれば、外注ではなく給与と判断されるのです。

外注費が認められなかった事例3

業務委託契約を結んだ複数のマッサージ師を施術施設(店舗)に常駐させ、売上の一部を「外注費」として支払ったものが「給与に該当する」と判断された事例があります。(平成12年2月29日裁決)
マッサージ店舗と業務委託契約した個人のマッサージ師に対して、仕事着の支給、指定した施術施設に出退勤時間で拘束し、コースの内容、施術料金に店舗の規定があり、マッサージ師が行った施術に対する賠償責任等はすべて店舗側が負う契約となっていることから「外注費を受け取ったマッサージ師は独立した事業主」といえず、使用者の指揮命令下で労働した場合、雇用関係となり「給与支給」が適切であり、外注費には該当しないと判断されたのです。

傾向と対策について

業務の主体は外注を受ける人であるとしても、その人が会社の監督下に置かれていると、外注ではないと判断されます。
この事例では、施術時間や料金をマッサージ師自身が決定していれば、給与とはならない可能性もあったと思われます。
しかし、すべて会社が決定していたため、会社から給与を支払っていると判断されたのです。
また、顧客とのトラブルがあった際には、すべて外注先が責任を負うことを明確にしておく必要もあります。

外注費として認められる条件

外注費で支払った費用を給与にすべきだと、税務調査で否認されるケースが多いです。税務調査で否認された場合、過去にさかのぼって修正申告が必要です。修正申告には膨大な労力と費用がかかるので「給与にすべきか外注費で問題ないか」その判断基準を確認しましょう。

成果物に対する報酬の支払いを行う

従業員は、労働時間をもとに給料の額を計算するのが基本です。
これに対して、外注の場合は労働の成果にもとづいた報酬を支払うこととされています。
いくら業務を行っても、契約に基づいた成果がなければ報酬は支払われません。
契約の段階で、どれだけの報酬をいつ支払うのか、明確にしておく必要があります。
タイムカードで時間管理を行っている場合は外注にはなりませんし、外注には就業時間や時間外勤務もありません。

指揮監督を受ける立場にない

外注により働く人は、業務の大まかな方針について会社と打合せをすることはあっても、事細かに指揮命令を受けることはありません。
会社のルールに従って仕事をしている場合は、自己の責任で仕事を行っているとはいえず、外注にならないのです。

職務遂行に必要な経費を自分で負担する

職務のために必要な経費は、基本的に外注を受ける人が自ら負担しなければなりません。
もし交通費などを会社が負担するのであれば、両者の契約によって実費精算とするか、上限額を定めておく必要があります。
必要な経費を会社が負担するのは、従業員や役員などに限られるのです。

自分以外の人が代わりにできる業務である

外注となる場合、ほかの人が代わりに役務の提供を行うことが可能となります。会社側は外注者に対して「あなた以外の人にやらせない」とは言えません。

外注を受けた人は自らの判断で、他の人に再委託することも可能です。
もし代替性が認められない場合には、その人は実質的には従業員であると判断されるのです。

契約書の締結は必須だがそれだけでは不十分

会社が外注を行う際に、業務委託契約や請負契約を締結していれば、形式的には外注と認められます。
しかし、契約書を作成していれば、それでいいというわけではありません。
最低限、契約書を作成することは必要ですが、そのほかの条件を満たしているか、必ず確認する必要があります。

外注費で消費税を節税する考え方まとめ

給与と同額の外注費を支払うことで会社に残るお金が増えるカラクリを解説しましたが、外注費が否認されるケースもありますので、外注費にして問題ないかどうか個人で判断する前に、一度税理士に相談することをおすすめします。

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