個人事業主の車代を経費にして節税する方法

個人事業主の車が経費に認められる条件とは

プライベートと事業割合を按分する

個人事業主の人が車を保有する場合、多くの人は事業のためとプライベートのための両方に利用します。
しかし、車に関する経費として認められるのは、事業に利用した部分のみです。
そのため、事業のために使った割合を、合理的な計算で求めなければなりません

事業のために利用した部分を求める方法としては、走行距離に応じて按分するのが一般的です
たとえば、1年間に1万キロ走行した車のうち、事業のために走行した距離が6,000キロである場合、事業部分の割合は60%となるのです。

自動車の名義人はどうすべき?

個人事業主が車を購入した場合、その名義人は本人とするのが原則です。
ただ、車の名義が他人となっていても、同一生計にある親族が保有する車であれば、経費として認められます。
ただ、同一生計にない家族や親族については、経費として認められないため注意が必要です。

通勤時のみ利用しても経費になる?

自宅と職場が離れており、通勤のためだけに車を使う場合も、その車に関する支出を経費とすることができます

車を事業にもプライベートにも使う場合、車に関する支出は家事関連費となります。
家事関連費の場合、「業務の遂行上直接必要であったことが明らかにされる部分の金額」(所得税法施行令96条2号)のみが経費となります。
通勤することは、業務の遂行上直接必要と考えられるため、経費とすることができるのです。

ベンツやスポーツカーなど高級車でも大丈夫?

車を経費にしようと思っても、高級車では経費にならないと考えるかもしれません。
しかし、税法には高級車は経費にならないとする規定は存在しません。
そのため、高級車だからダメ、スポーツカーだからダメということはないのです。

ただ、このような車の場合、個人の趣味として購入する人が多いため、本当に事業のために必要なものかで争いとなる可能性があります。
このような争いを防ぐためには、きちんと事業のために使っていることを証明する必要があります
この時、高級車やスポーツカーにする必要性についても説明できるといいでしょう。

個人事業者の車が経費に認められなかった判例

事例

平成27年9月2日の裁決事例では、勤務医として給料をもらう一方で、医療コンサルタントとして事業所得を得ていた事業者が使用していた、ベンツ・ジャガーの減価償却費について争われています。
納税者が申告を行った際には、車両の事業割合を70%としていましたが、国税不服審判所は使用状況から事業割合を10%以下とし、減価償却費として計上した経費の額を大幅に減額しました。

傾向と対策について

事業割合を求める際には、納税者は少しでも高い割合で経費を増やしたいと考えます。
しかし、その割合が税務署の担当者にとって納得のいくものでなければなりません。
どのように事業割合を求めたのか必ず争いになるため、客観的な事実にもとづいて説明できるようにしておきましょう

車の購入に欠かせない減価償却とは

減価償却とは

減価償却とは、購入した車を耐用年数に応じて経費化することです。
時の経過とともにその価値が減少するため、毎年一定の計算方法で求めた減価償却費を計上し、その分固定資産の金額を減少させていくのです。

車の耐用年数とは

新車の耐用年数は、普通自動車で6年、軽自動車で4年と決められています。
また、中古車の場合は、その車を使い始めてから購入するまでの経過年数により、以下の算式で耐用年数を計算します。
(耐用年数-経過年数)+経過年数×0.2(小数点未満切り捨て)

例えば、普通自動車で3年落ちの中古車を購入した場合、(6年-3年)+3年×0.2=3.6年→3年となります。

定額法と定率法の違い

減価償却費の計算方法にはいくつかの種類がありますが、一般的なのは定額法と定率法の2つです。
そこで、同じ種類・金額の固定資産を定額法と定率法で計算した場合の、減価償却費の違いをみてみましょう。

定額法にした場合

定額法は、取得した資産について毎年均等の減価償却費を計上する計算方法です。
例えば、2021年1月に購入した200万円の普通自動車を定額法で減価償却した場合、2021年の減価償却費は200万円×0.167=334,000円となります。

200万円で購入した車を定額法で償却する場合、減価償却費の推移は以下のとおりです。

 

2021年

2022年

2023年

2024年

2025年

2026年

減価償却費

(経費部分)

334,000円

334,000円

334,000円

334,000円

334,000円

329,999円

期末帳簿価格

1,666,000円

1,332,000円

998,000円

664,000円

330,000円

1円

バランスよく経費になるイメージ

定率法にした場合

定率法は、資産の期首帳簿価格に一定の率を乗じて、毎年の減価償却費を計算する方法です。
この償却率は、定額法とは異なる率が定められています。
2021年1月に購入した200万円の普通自動車を定率法で減価償却した場合、2021年の減価償却費は200万円×0.333=666,000円となります。

200万円で購入した車を定率法で償却する場合、減価償却費の推移は以下のとおりです。

 

2021年

2022年

2023年

2024年

2025年

2026年

減価償却費

(経費部分)

666,000円

444,222円

296,296円

198,222円

198,222円

197,037円

期末帳簿価格

1,334,000円

889,778円

593,482円

395,260円

197,038円

1円

早く経費になるイメージ

現金一括、ローン、リース契約で異なる経費の考え方

車を現金一括、ローン、リース契約で購入した場合、経費の考え方が異なります。

現金一括で車を購入した場合の経費について

新車300万円の車を現金一括で購入した場合のイメージ

車を現金一括で購入した場合、減価償却で毎年どれくらいの経費が発生するのでしょうか。
ここでは、2021年1月に300万円の普通自動車を新車で購入し、定額法で償却するものとします。
また、車の事業割合は、走行距離から30%として計算します。

減価償却(定額法)による経費の額は以下のようになります。

 

2021年

2022年

2023年

2024年

2025年

2026年

減価償却費

501,000円

501,000円

501,000円

501,000円

501,000円

494,999円

事業割合

30%

30%

30%

30%

30%

30%

経費

150,300円

150,300円

150,300円

150,300円

150,300円

148,499円

合計

150,300円

300,600円

450,900円

601,200円

751,500円

899,999円

中古300万円の車を現金一括で買った場合のイメージ

中古で購入した場合は、減価償却でどれくらいの経費が発生するのでしょうか。

ここでは、2021年1月に300万円の普通自動車を中古で購入し、定額法で償却するものとします。
また、車の事業割合は、走行距離から30%として計算します。

経過年数3年で耐用年数が3年となる場合、減価償却(定額法)による経費の額は以下のようになります。

 

2021年

2022年

2023年

減価償却費

1,002,000円

1,002,000円

995,999円

事業割合

30%

30%

30%

経費

300,600円

300,600円

298,799円

合計

300,600円

601,200円

899,999円

中古車のほうが早く経費化できるイメージ

経費となる額のトータルは変わりませんが、新車の場合より早く経費が発生することが分かります。

ローンで車を購入した場合の経費について

新車300万円の車をローンで買った場合のイメージ

新車をローンで購入する場合、利息の支払いが発生するため、経費になる金額が増えます。
例えば、300万円の新車を頭金100万円、残りをローン(年利3%)で購入し5年で返済した場合の経費の金額は以下のようになります。

 

2021年

2022年

2023年

2024年

2025年

2026年

減価償却費

501,000円

501,000円

501,000円

501,000円

501,000円

494,999円

利息

54,847円

43,399円

31,600円

19,446円

6,920円

事業割合

30%

30%

30%

30%

30%

30%

経費

166,754円

163,319円

159,780円

156,133円

152,376円

148,499円

合計

166,754円

330,073円

489,853円

645,986円

798,362円

946,861円

中古300万円の車をローンで買った場合のイメージ

中古車(経過年数3年)をローンで購入した場合、経費はどうなるか、確認しておきましょう。
先ほどの例と同じく、300万円の中古車を頭金100万円、残りをローン(年利3%)で購入し5年で返済した場合の経費は以下のようになります。

 

2021年

2022年

2023年

2024年

2025年

減価償却費

1,002,000円

1,002,000円

995,999円

利息

54,847円

43,399円

31,600円

19,446円

6,920円

事業割合

30%

30%

30%

30%

30%

経費

317,054円

313,619円

308,279円

5,833円

2,076円

合計

317,054円

630,673円

938,952円

944,785円

946,861円

中古車のほうが早く経費化できるイメージ

ローンで車を購入した場合、ローン返済額に関係なく、合計金額を耐用年数で減価償却します。

購入せずリース契約した場合の経費について

リースを利用して車を使う場合、どれくらいの経費が発生するのでしょうか。

軽貨物事業の個人事業者が軽自動車をリース契約した場合のイメージ

リースの条件は様々な形で決めることができ、その条件によって金額も変わりますが、軽貨物車について5年間のファイナンスリース(月間走行距離2000キロ以内)を行う場合、発生する経費は以下のとおりです。


軽貨物車を事業にだけ使用する場合、以下のように全額経費になります。

 

2021年

2022年

2023年

2024年

2025年

リース料

365,640円

365,640円

365,640円

365,640円

365,640円

合計

365,640円

731,280円

1,096,920円

1,462,560円

1,828,200円

リース料がすべて経費になるイメージ

建設業や設備業の個人事業者が軽トラックをリース契約した場合のイメージ

リースを利用して軽トラックを購入した場合には、毎年どれくらいの経費が発生するのでしょうか。
5年間のファイナンスリース(月間走行距離1500キロ以内)の場合、発生する経費は以下のとおりです。


軽トラックを事業にだけ使用する場合、以下のように全額経費になります。

 

2021年

2022年

2023年

2024年

2025年

リース料

195,360円

195,360円

195,360円

195,360円

195,360円

合計

195,360円

390,720円

586,080円

781,440円

976,800円

リース料がすべて経費になるイメージ

リース契約車両をプライベートと併用する場合、事業で利用した部分を距離で算出して経費にします
例)1年間の合計距離10000km、プライベート利用1000km、事業利用9000kmの場合、90%を事業割合にします。※日報をつけましょう。

車の維持費は経費にできる?できない?

気になる車の維持費や税金の経費算入可否を解説します。

車検代

車検代は、事業割合に応じた金額を「車両費」として、支出した年の経費とすることができます。

自賠責保険料

自賠責保険料は、車検の際に2年分ないし3年分をまとめて支払います。
しかし、自賠責保険料は法律にもとづいて支払うものであるため、支払った金額に事業割合を乗じた金額の全額を「支払保険料」として、支払時の経費とすることができます。

任意保険料

任意保険料は、事業割合に応じた金額を「支払保険料」として、支出した年の経費とすることができます。

自動車税

自動車税は、事業割合に応じた金額を「租税公課」として、支出した年の経費とすることができます。

自動車重量税

重量税は、事業割合に応じた金額を「租税公課」として、支出した年の経費とすることができます。

ガソリン代

ガソリン代は、事業割合に応じた金額を「車両費」や「燃料費」として、経費とすることができます。

高速道路や有料道路の料金

高速道路や有料道路の料金については、事業に利用した金額のみ「旅費交通費」として、経費とすることができます。

消耗品(タイヤ、ワイパー、ウォッシャー液の交換)

車の消耗品を購入した際の支出については、事業割合に応じた金額を「車両費」として、経費とすることができます。

コインパーキング代

コインパーキング代については、事業に利用した金額のみ「旅費交通費」として経費とすることができます。

駐禁などの罰金

駐車禁止や速度違反などで罰金を支払った場合、その罰金について経費とすることはできません。

カーナビの設置

青色申告を行う事業主がカーナビを設置して、その金額が30万円未満の場合、少額減価償却資産として、支出時の経費とすることができます。
この場合、「車両費」で処理をしたうえで、青色申告決算書の「減価償却費の計算」にその旨を記載します。

白色申告を行う者は少額減価償却資産とすることはできません。
この場合、10万円未満の場合は「車両費」として経費とする一方、10万円超20万円未満の場合は「一括償却資産」とします。
また、20万円を超える場合には、「車両」として減価償却を行います。

ETC機器の設置

ETCを設置する際の支払いについても、カーナビと同じ考え方です。
ただ、実際には10万円を超えることはないため、事業割合に応じた金額を「車両費」として経費とすることになるでしょう。

洗車代

洗車にかかった費用も、事業割合に応じた金額を「車両費」として経費とすることができます。

レンタカーの費用

レンタカーを利用した際の目的に応じて判断します。
事業のために利用したレンタカー代は、その全額を経費とすることができます。

個人事業主向け車の経費まとめ

個人事業主やフリーランスの車は事業で利用する部分のみ経費にできます。

ベンツ、フェラーリなど高級車やスポーツカーは法的に禁止されておらず、事業に必要だと認められれば経費になります。

新車や中古車を現金で買う場合、ローンやリースなどの契約によって経費の考え方が異なる点に注意しましょう。

自身の判断で実行する前に、客観的に大丈夫か、税理士に確認することをおすすめします。

税理士法人監修

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